2010年夏、「ニホンザル謎の大量死」と各紙で報じられ、数多くの関係者、近隣の方々にもご心配をおかけした「ニホンザル血小板減少症」。
各機関の専門家の先生方のご協力のおかげで、原因と思われるウイルス(サルレトロウイルス4型、5型)が突き止められ、その後の対策にもご尽力頂いています。

本来ニホンザルが持っていたウイルスではなく、近縁別種のサルからうつされたものであったこと、そのような病原体の中には、思いがけず劇症化し「新興感染症」として注目される例が少なくないこと、人間に感染する可能性はごく低いことなどが分かったのは2010年秋でした。

それから4年半の間にさらに解明が進められ、その成果が論文として公表されたことが、昨日の中日新聞に掲載されました。

病原体との闘いは、日々の努力を根気よく積み重ねるしかない、持久戦であることを痛感した4年半でもありました。
今回公表された論文は、4型ウイルスと血小板減少症の関係が科学的に立証され、発症にいたるメカニズムの一端が明らかになったという内容でしたが、残る5型についても同様な解明が待たれます。

サル大量死の原因ウイルス特定 京大霊長研
(2015/3/31 中日新聞記事リンク)

追加情報: 4月16日(木)毎日新聞にも掲載されました
ニホンザル:大量死の原因特定 カニクイザル保有のウイルス
(2015/04/16 毎日新聞記事リンク)

京都大学プレスリリース(リンク)

論文情報(4型について):

Okamoto, M. et al. (2015 Mar 6)
Emergence of infectious malignant thrombocytopenia in Japanese macaques (Macaca fuscata) by SRV-4 after transmission to a novel host
Scientific Reports 5, Article number: 8850, doi:10.1038/srep08850

Yoshikawa, R. et al. (2015 Apr 1; Epub 2015 Jan 21)
Simian Retrovirus 4 Induces Lethal Acute Thrombocytopenia in Japanese Macaques
J Virol. 89(7):3965-75, doi: 10.1128/JVI.03611-14.

関連論文(5型について):

Takano, J. et al. (2013 May, Published online ahead of print January 16, 2013)
Isolation and DNA characterization of a simian retrovirus 5 from a Japanese monkey (Macaca fuscata)
J Gen Virol. vol. 94 no. Pt 5 955-959, doi: 10.1099/vir.0.047621-0